インフルエンザについて

インフルエンザについて

いよいよインフルエンザシーズンの到来ですね。
当院を受診される患者さまの中にも、ちらほらインフルエンザと診断される方も出てきております。
今日はそんなインフルエンザについてのお話を少ししてみます。

インフルエンザは毎年冬になると必ず流行し、人口の5~10%の人が感染すると言われています。
毎年のようにインフルエンザによる学級閉鎖のニュースが報道されますが、実際の患者さんの数は何人程度でしょうか。
日本の総人口が約1億2630万人なので、年間でインフルエンザに罹る患者さんは延べ630万~1260万人にものぼります(年度で異なります)。しかも、この数はあくまで病院に受診して診断がついた人だけなので、実際はこれより多くの患者さんが感染している状況です。

感染力が強いウィルスで、容易に感染します(ちなみに、インフルエンザの感染経路は「飛沫感染」です)。潜伏期間は1~4(平均2日間)で、突然の悪寒、高熱で始まるのが特徴的です。風邪と同じように、インフルエンザもウィルス感染なので発熱以外に全身に症状がおこり、頭痛、のどの痛み、関節痛、筋肉痛も認め、咳、鼻汁などは少し後から出てくると言われています。発熱は3~5日間続き、おおよそ1週間程度で軽快します。
患者さんの中にはまれに中耳炎、筋炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎など色々な病気を合併する方がいます。また、小児では高熱から熱性けいれんを起こしたり、まれにインフルエンザ脳症を合併します。インフルエンザ脳症はインフルエンザにかかってすぐに、けいれん、意識障害、異常行動・言動などの症状を認めますので、それらを認めて脳症が疑われた場合はすぐに大きな病院を受診することをお勧めします。ただし、残念ながら決定的な治療法は確立されていません。

診断をするためには、綿棒よりもっと細長い棒を鼻腔に入れる検査が必要です(抗原検査といいます)。ちなみに、熱が出てすぐに抗原検査をしてもウイルス量が少ないので、陽性にならない(つまり、仮にインフルエンザであっても診断できない)ことがあるので、検査をするなら翌日をお勧めします。

治療は抗ウィルス剤(内服、吸入、点滴)で、ウィルス増殖を抑える効果があります。当院では内服もしくは吸入を行うことが可能ですが、治療は発症から48時間以内の場合に行います。この理由は単純で、48時間を超えて治療を行ってもすでにウィルスがMaxまで増えきってしまっており、増殖を抑制する治療をしても残念ながら意味がほとんど無いためです。実際に、抗ウィルス剤を使用しなくても自然経過で治癒する病気なので、元々持病がない健康な人は、無理に使用しなくてもいいと思われます。そのような理由から、仮に発症から48時間以内であっても、抗ウイルス剤を使うかどうかは、患者さんと(未成年の場合は保護者と一緒に)相談してから処方しています。
なお、内服の抗ウイルス剤のタミフルは10代の異常行動を引き起こすとして長らく投与が認められておりませんでしたが、2018年8月に再度見直されタミフルと異常行動の因果関係は明確でないと厚生労働省が判断したため、以後処方ができるようになりました。それでも、インフルエンザによる異常行動がでたのは事実なので、10代の患者さんの保護者には慎重に見守るよう説明しております。

予防はインフルエンザの予防接種、積極的な手洗いうがいとなります。特に予防接種は重症化するのを防ぐため意義も大きいと思います。(当院でもインフルエンザの予防接種を開始しております。ご不明点のある場合はどうぞお気軽にご相談ください)

インフルエンザ予防接種について(* 電話予約が必要です)