2020年1月10日
新年あけましておめでとうございます。年末年始は皆さまどのように過ごされましたでしょうか。
普段忙しく働かれている方は、ここぞとばかりにゆっくりと寝て過ごす、まさに寝正月を満喫した方も少なくないのではないでしょうか?
さて、今回はそのような睡眠の話をしようと思います。
皆さまの中には、「睡眠中にいびきがひどい」とご家族や友人から指摘された方はいませんか?さらに、いびきだけでなく「寝ている時にしばらく呼吸が止まっている」ことを指摘された方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような場合、真っ先に疑われるのが「睡眠時無呼吸」です。
睡眠時無呼吸は以下のように定義付けされています。
『1時間あたりの無呼吸(10秒以上の呼吸停止)または低呼吸(呼吸の気流が10秒以上低下して低酸素もしくは微小覚醒を伴う状態)の回数が5回以上』
このような呼吸状態が原因となり、起床時の頭痛や日中の過度な眠気などの症状を伴うものを睡眠時無呼吸症候群と言います。さらに、睡眠時無呼吸は中枢性睡眠時無呼吸(呼吸中枢の異常による)と閉塞性睡眠時無呼吸(上気道の閉塞による)に分類されます。ちなみに、外来診療の現場では後者の閉塞性睡眠時無呼吸が圧倒的に多いです。
患者さまの中には自らいびきや無呼吸を心配して検査を希望して受診する方もいます。一方で、自覚がなく(きちんとお話を伺うと症状はある事が多いです)、例えば血圧の薬を何種類も飲んでいても正常値まで下がらない治りにくい高血圧(難治性高血圧)の方の中にも睡眠時無呼吸が隠れていたりします。
では、この病気は放置していてもいいのでしょうか??
現在までに、様々な論文が散見されますが代表的なものに、2005年MarinらによってLancet誌で発表された論文1)があります。内容をざっくりと説明すると、重症の無呼吸患者の心脳血管の病気(心筋梗塞や脳梗塞など)による死亡が、無呼吸のない人たちと比べて優位に多く、在宅持続陽圧呼吸(CPAP←「シーパップ」と読みます)で治療により改善したという内容です。
そのため、当院でも睡眠時無呼吸症候群が疑われる患者さまには一度検査をおすすめしております。もしも、睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、引き続き当院で在宅持続陽圧呼吸(CPAP)治療を継続していくことができますのでご安心ください。
いびきや無呼吸を指摘されて心配な方や、起床時の頭痛、日中の過度な眠気、治りにくい高血圧などで、睡眠時無呼吸の検査をご希望される場合は一度当院までご連絡ください。また、以下のページにも情報を載せておりますのでご参照いただければと思います。
1)Marin JM, et al : Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnoea-hypopnoea with or without treatment with continuous positive airway pressure: an observational study. Lancet, 365 :1046-1053.2005.